破産にまつわる噂のQ&A
破産できるかどうかのQ&A
自己破産の効果
自己破産の手続について
Q&A
※以下では,わかりやすくするために,「破産」という言葉を,「破産」の意味で使う場合と,「免責」の意味で使う場合があります。誤解なさらぬようご注意下さい。
A されません。本籍地にある「破産者名簿」という名簿に名前が載りますが,一般人は閲覧できません。また,免責が降りるとその名簿からも削除されます。
A できます。ただし,財産がある方の破産(管財手続)の場合には,裁判所の許可が必要になる場合があります。
A おそらくないと思われます。破産をすると「官報」に名前が載ります。もし就職先の会社が官報をチェックしていた場合には,影響が出るかもしれません。通常の会社は見ていないと思います。
A ないと思われます。破産をすると「官報」に名前が載りますが,それを逐一チェックしている会社や学校は少ないと思いますし,仮に見ていても,親の破産で子供にどこまで影響があるかは疑問です。
A 場合によります。破産と関係のない銀行であれば,今までと変らずに預金取引は可能ですし,口座も作れます。ただ借入をしている銀行(破産の債権者になっている銀行)である場合には,一時的に口座が凍結される場合もあります。
A 通常は持っていかれません。ただ,高価な家具があるような場合には,それを換価しないといけない場合もあります。
Q 家族が借金を払わないといけないの?
A 払わなくて大丈夫です。保証人になっているなら話は別ですが,借金はあくまで個人の問題ですので,たとえば父親が破産したとしても,妻や子が借金を肩代わりすることはありません。
A なくなりません。戦前の破産法においては公民権の停止という制約があったようですが,現在の破産法ではそのような制約はありません。
Q 電気,ガス,水道が止まるの?
A 止まりません。ただし,これらの料金を滞納していれば,破産とは関係なく止まります。
Q 年金もとられてしまうの?
A とられません。年金は差押禁止債権ですので,破産法にいう自由財産として,破産者の手元に残せます。
A されません。もしされたとしたら,不当解雇として争うことは可能です。ただし,破産によって警備員や保険の外交員の資格を失いますので,そのような職に就いている場合は解雇の可能性もあります。
A 直ちに知られるということはありません。ただ,自分で申立をしている場合には,裁判所からの通知は自宅に届きますし,裁判所に家計簿を提出する必要があるため,家族の収入状況についても調べる必要があります。そのため,家族に隠して申立をしたとしても,知られる可能性もあると思います。
A 破産した場合「官報」に名前が載ります。勤務先や友人が官報を毎回チェックしていれば知られますが,そうでない限り知られることはないと思われます。
A 破産をすると信用情報機関に事故情報が登録されます(いわゆるブラックリスト)。金融機関は,融資の際,この信用情報機関の情報をもとに融資するかどうかの判断をしています。そのため,ブラックリストに載っている間は,お金を借りられないと思われます。
ただ,7~8年すると情報が消去されるようなので,そうしたらまたお金を借りることも可能です。
Q 今住んでいる賃貸アパートから出ないといけないの?
A 出る必要はありません。以前は借主が破産した場合に貸主から契約の解除ができましたが,現在はできなくなりました。借主がきちんと賃料を支払っているのであれば,住み続けることは可能です。
Q 自動車は売らないといけないの?
A 場合によります。まず,まだローンが残っている場合には,債権者に回収され,売却し,ローンの返済に充てられます。ローンが残っていなくても,20万円以上の価値がある車であれば,やはり売却して裁判所に納めないといけません。ローンもなく,20万円の価値もつかない車であれば,そのまま所有し続けることも可能です。
A 破産後に相続が始まったのであれば,問題なく相続できます。破産手続前や手続き中に相続があった場合には,得られた遺産は負債の返済に回すことになりますが,相続する財産で借金を全額返済できるのであれば,破産の手続きを取り下げることもできます。
破産できるかどうかのQ&A
A できないこともあります。一部の債権者だけに返済をして破産することは,偏頗弁済といって,法律で借金の免除を認めない理由として規定されています。そのため,友人にだけ返済して破産すると,借金が免除されない可能性があります。
Q 一部の取引先にだけは払ってから破産したいのだけど?
A 破産できない可能性もあります。これも同じで,一部にだけ返済することは,偏頗弁済として,借金の免除が認められない可能性があります。
A できないこともあります。賭博によって借金を作ったことは,法律で,借金の免除を認めない理由として規定されています。そのため,ギャンブルが原因で破産する場合にも,借金が免除されない可能性があります。
A できないこともあります。浪費によって借金を作ったことは,法律で,借金の免除を認めない理由として規定されています。そのため,身の丈に合わないブランド品の購入によって破産に至った場合,借金が免除されない可能性があります。
A できる場合もあります。法律で,借金を免除しない理由があるときでも,裁判官の裁量で,借金の免除を認めています。そのため,上記賭博や浪費が原因であっても,場合によっては破産できます。賭博や浪費がどれくらい破産の原因になっているか,によって,裁量免責されるかが決まってきます。
A できません。法律で,一度破産をしたら7年間は破産できない,とされています。また,7年経ったとしても,破産をするには,前回以上よりも強い理由がないと難しいでしょう。
A 場合によります。生活保護を受給しており,今後収入の見込みがない場合であれば,数十万円でも破産はできます。
自己破産の効果
A 止められます。弁護士が事件を受任した際には,債権者に通知を送ります。その通知が届くと,債権者は破産者に対して直接取り立てをすることができなくなります。そのため,その時点で取り立ては止まります。
A 無くなりません。20万円以下の財産しか無い場合には,一切裁判所に納める必要はありません。数百万円の財産がある場合でも,最大99万円までは手元に残すことが可能です。また,破産申立後に得た収入はそのまま自分の財産として問題ありません。
A あります。裁判所に破産の申立をしてから,破産の手続が終わるまでの間,警備員や保険の外交員,などの職業につくことはできません。ただ,手続が終われば資格の制限もなくなります。
A あります。20万円以上の財産をお持ちの方等が破産する場合,裁判所から破産管財人を付されることがあります。その場合には,郵便物が管財人のところに転送され,破産者のもとに直接は届かない場合があります。
A なくなりません。税金は,破産をしても残りますので,別途市役所や区役所等と返済方法について協議する必要があります。
A 無くなりません。親子である以上,養育費の支払い義務は残ります。
A 場合によりますが,無くなる場合が多いと思います。破産しても「故意又は重大な過失」による損害賠償義務は免除されません。交通事故の場合でも,故意又は重大な過失と言えるような場合には,免除されませんが,そうでない限りは免除されます。
A 破産をした場合,保証人に請求が行くことになります。保証人に迷惑をかけないようにする方法は特にないため,保証人は債務を返済するか,自分も破産する等しないと債務を免れることはできません。
自己破産の手続について
A 弁護士費用は弁護士によってまちまちですが,当事務所の基準では着手金20~40万円,報酬金20~40万円(個人破産の場合)となっています。裁判所に納める費用は,印紙1500円,官報公告掲載費用10290円,切手代1000円程度(横浜地裁の場合)です。
A 早くて2~3ヶ月です。破産の相談を受けてから,債権調査が終わるまで,だいたい2ヶ月程度の時間をいただいています。そのときに申立に必要な書類をお持ちいただき,それで必要書類が全部そろえば,申立可能です。ただ,一回で全部の必要書類を揃えられるかたはあまり多くありませんので,若干時間がかかっています。
裁判所に申立をした後,だいたい2ヶ月後くらいに一度裁判所に来ていただき,それで手続は終了です(裁判所の支部によって運用が異なります)。
A 可能ですが,裁判所への申立書を作成したり,必要書類を調べて揃えたり,さらに裁判所や破産管財人からの問い合わせに対して適切に回答しなければなりませんので,相当苦労されるかと思います。
A 横浜地裁の場合は1回です。破産の申立の際には本人は出頭せず,代理人の弁護士だけが出頭します。そして破産手続きが開始し,2か月程度後に免責の審尋を行うときに,本人も出頭してもらいます。
裁判所に出頭しても,法廷で証言をするようなことはなく,教室くらいの大きさの部屋で,他の破産の申立をした方数十人と一緒に,裁判官の話を聞くだけです。特に発言を求められるということはありません(裁判所の支部によって運用が異なります)。
A 最低2回です。受任通知の発送時と,そのときにお願いしていた書類をお持ちいただいたときです。ただ,やはり一回ですべての書類を揃えられる方は少なく,2回しか事務所に来ないという方はほぼいません。何回かは来る覚悟をしておいて下さい。